【自力から他力へ】自分を手放すことで見えてくる、ありのままの自分を生きる道

【自力から他力へ】 自分を手放すことで見えてくる ありのままの自分を生きる道

私たちは、日々、努力し、悩み、そして、時には自分を責めてしまうことがあります。
生きていく中で、「自分の力だけで何とかしなければ」という思いに囚われてしまうこと、ありませんか?

そんな時、心に響くのが、親鸞聖人の言葉。

「自力をはなれて、他力にかえれ」

これは、浄土真宗の教えの中でも、特に重要な意味を持つ言葉です。

今回は、この言葉に込められた深い意味を紐解きながら、現代社会を生きる私たちが、どのようにすれば心の安らぎを得て、ありのままの自分を生きていけるのかを考えていきましょう。

「自力をはなれて、他力にかえれ」ってどういうこと?

「自力」と「他力」。
少し難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、
私たちの日常にも通じる大切な意味を持っているんです。

自力:自分の力だけで何とかしようとすること

「自力」とは、読んで字のごとく「自分の力」。
勉強や仕事、人間関係など、私たちは、様々な場面で、自分の力だけで物事を解決しようと頑張っていますよね。

目標を達成するために努力することは素晴らしいことですし、自力で困難を乗り越えた時の喜びは、何物にも代えがたいものです。

しかし、仏教では、私たち人間は、煩悩にとらわれやすく、自分の力だけで、本当に幸せな人生を送ることは難しいと説いています。

他力:大きな力に身を委ねること

一方、「他力」とは、自分以外の力に頼ること。
仏教でいう「他力」とは、阿弥陀仏という仏さまの慈悲の力のことです。

阿弥陀仏さまは、私たちが、どんなに煩悩深く、どんなに過ちを犯したとしても、分け隔てなく、すべての人々を救い、幸せにしたいと願っていると言われています。

「自力をはなれて、他力にかえれ」という言葉には、自分の力だけに頼るのではなく、阿弥陀仏さまの大きな慈悲の力に身を委ねなさい、というメッセージが込められているのです。

なぜ自力では限界があるのか?

「努力は必ず報われる」
「自分は自分、人は人」

そんな風に、私たちは、「自分の力で人生を切り開いていけるはず」そう信じて生きているところがあります。

しかし、
「周りの人と比べてしまい、劣等感を抱いてしまう…」
「失敗への不安や恐怖に押しつぶされそうになる…」
「何度努力しても、報われない気がして虚しくなる…」

そんな経験をしたことはありませんか?

人間は、誰しも弱い部分を持っています。
完璧な人間なんて、一人もいません。

にも関わらず、自分の力だけで何とかしようとすると、私たちは、限界を感じ、苦しみ、傷つき、時には、自分自身を責めてしまうことさえあります。

仏教ではこのような心の状態を「苦」と表現し、その原因は、私たち人間の「煩悩」にあると説いています。

煩悩とは「怒り」「嫉妬」「執着」など、私たちの心を乱し、苦しめる心の働きのことです。

自分の力だけで幸せになろうとすればするほど、私たちは、この煩悩に支配されてしまい、真の心の安らぎを得ることが難しくなってしまうのです。

「煩悩(ぼんのう)」とは何か? その意味と克服法を 仏教の教えから学ぶ

3. 阿弥陀仏さまの慈悲にすべてを委ねる

では「他力に生きる」とは、具体的にどんな生き方なのでしょうか?

それは、
「自分の力だけで生きているのではない」
「阿弥陀仏さまの慈悲の力によって、生かされている」
ということに気づき、感謝の気持ちで日々を過ごすことです。

「今日も無事に過ごせたことに感謝します」
「周りの人に支えられていることに感謝します」

そんな風に、日常の些細なことに感謝の気持ちを持つことは、「他力」の生活を送るための第一歩と言えるでしょう。

また浄土真宗では、「念仏」を大切にしています。
念仏とは、「南無阿弥陀仏」と、阿弥陀仏さまのお名前を称えることです。

「南無阿弥陀仏」という言葉には、阿弥陀仏さまの限りない慈悲の力が込められており、そのお名前を称えることで、私たちは、阿弥陀仏さまと心を通わせ、その慈悲の光に包まれることができるとされています。

忙しい毎日の中でも、朝起きた時や夜寝る前などに、心を込めて「南無阿弥陀仏」と唱えてみましょう。

最初は、「本当に効果があるのかな?」と感じるかもしれません。

しかし心を込めて念仏を続けるうちに、心が穏やかになり、
不安や恐怖から解放されていくのを感じることができるでしょう。

「阿弥陀仏の無条件の救済」〜南無阿弥陀仏〜念仏を称える意味とは?

ありのままの自分を生きるために

「自力をはなれて、他力にかえれ」

この教えは、決して、
「努力することを諦めなさい」
「何もしないで、ただ仏さまに頼っていればいい」
という意味ではありません。

むしろ、
「自分の力には限界があることを受け入れる」
「ありのままの自分を認め、慈しむ」
という、私たちが、より良く生きるためのヒントを与えてくれているのではないでしょうか。

「他力」に生きるとは。
自分の弱さを認め、他者への感謝の気持ち、そして、阿弥陀仏さまへの信頼の気持ちを持って日々を丁寧に生きていくこと。

そうすることで私たちは、自分自身の力では決して得ることのできなかった、大きな安心感と心の安らぎを得ることができるのです。

そしてその心の安らぎは、私たちをより優しく、より強く、そしてより自由に生きていくための力となるでしょう。

あなたは、どんな風に生きていきたいですか?

Translate »